競艇で八百長は可能?実際に逮捕された例は?前代未聞の八百長レースを紹介

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コラム
手錠

競艇のレース中に、選手が不自然な動きをしたと感じたとき、オッズを見ていて妙に売れている買い目を見たとき、思い浮かべるのが「八百長」の三文字。

固いはずのレースで本命選手が負けたときにも「八百長では?」と考えてしまいがちである。

競艇選手は開催中に外部との連絡が取れないため、これまでは八百長は絶対に不可能であると考えられてきた。
しかし、2019年に八百長事件が発生。競艇界を大きく揺るがした。

今回は、この前代未聞の八百長レースをはじめ、「競艇での八百長」について考えてみたい。

2019年に起こった競艇での八百長事件

2020年1月8日、元競艇選手がモーターボート競走法違反の疑いで名古屋地検特捜部に逮捕された。

元選手の名前は西川昌希(にしかわまさき)。
現役時代は三重支部のホープとして期待の大きい選手であったが、2019年9月に体調不良を理由に引退していた。

西川昌希元選手は、2019年1月から9月の間、全国10都府県のボートレース場で行われた計20レースでわざと着順を遅らせ、見返りに同法違反で逮捕された親類から計3,700万円の賄賂を受け取ったとされている。

「わざと着順を遅らせ」を具体的に説明すると、主に1号艇に入った際に意図的に2着、3着などの着順にした、というものである。
競艇において圧倒的に有利である1号艇が、2着、3着となれば、当然払戻金は高額となる。
しかもそれがあらかじめ分かっているわけだから、舟券の購入額も躊躇することなく増やすことができるだろう。

西川昌希元選手は、外部との接触に本来は持ち込みが禁止されているスマートフォンを使用したとのこと。
このスマートフォンを使い、親類と着順を示し合わせていたようである。

宿舎にスマートフォンをすんなりと持ち込めたことにも驚きだが、A1選手でもあった西川昌希元選手がご法度ともいえる八百長に手を染めていたという事実は非常に衝撃的であった。

なお、西川昌希元選手が八百長行為を行ったレースについての返金は行われていない。
テレボートで舟券を購入した場合は購入履歴を確認できるが、ボートレース場で購入した場合は、舟券を買ったと証明できるものが何もない。
そうなると公平な対応が難しい。おそらく、今後も返金対応は行われないのではないかと考える。

西川昌希元選手の八百長レース映像

それでは、西川昌希元選手の八百長レース映像を実際に見てみよう。
2019年7月2日にびわこボートレース場で行われた「イースタンヤング」7Rにおいて、西川昌希元選手が八百長行為をしたことが認められている。
このレースの出走表は以下の通り。

2号艇の西川昌希元選手の動きに注目してほしい。

1周1マークで4号艇が転覆。このような場合でもレースは続行されるが、事故艇の近くでは追い越しが禁止される。
つまり、このレースにおいては2周目及び3周目の1マーク付近での追い越しは禁止となる。(2マーク付近での追い越しは可能ではあるが、暗黙の了解で追い越しはしない)

西川昌希元選手が、2周1マーク付近で大減速しているのがわかるだろうか。
後ろを走っている3号艇は追い越しができないため、西川昌希元選手に合わせて減速している。
その後、2周1マークを旋回した後に、3号艇が西川昌希元選手を追い抜いたようだ。
西川昌希元選手の不自然な動きに、3号艇の選手も大きく戸惑ったことだろう。

なぜ西川昌希元選手は2周1マーク付近で大減速したのだろうか。

「このレースでは(西川昌希元選手は)4着以下となる」ことを申し合わせていたに違いない。
4号艇の転覆により追い越されることができなくなった西川昌希元選手は、不自然な大減速により後続の3号艇を前に行かせることで、八百長を成立させたのである。

競艇で八百長を実行するには

そもそも八百長とはどう意味なのだろうか。

国語辞典には、「勝負事で、前もって勝敗を打ち合わせておいて、うわべだけ真剣に勝負すること。なれあいの勝負」と書かれている。

ここからは、競艇で八百長行為を行うには何をしなければならないかを説明していく。

競艇選手は、自分がレースに出るボートレース場に到着すると、私物検査や身体検査などを受ける。
このときに、スマートフォンなどの通信機器はレース場に預けなければならない。
通信機器を預けるのは、もちろん八百長防止のため。レースが行われている期間は外部との接触が一切禁じられている。
違反した際の罰則もあり、2004年に選手宿舎に通信機器を持ち込んだ平田忠則選手(80期・福岡)は、1年間の出場停止処分を受けている。

このような厳格なルールがあるため、これまでは競艇で八百長を成立させるのは非常に難しいこととされてきた。

仮に、西川昌希元選手のように外部との連絡が取れたものとして話を進めよう。

勝負事での八百長には、自分が「勝つ」ものと「負ける」ものがある。
競艇で、自分が「勝つ」八百長をしようとすると、他の5選手に協力してもらう必要があるため、実行することはかなり困難であろう。
となると、実行できるのは、自分が「負ける」八百長のみ。
競艇はコースによる有利不利がはっきりしているため、勝つ確率の最も高い1号艇に乗ったときがいちばん八百長を実行しやすいということになる。
西川昌希元選手が八百長を実行したのが、主に1号艇に乗ったときであることからも明らかだ。

1号艇が3着までに来ないということが分かっていれば、1を外した60通りの舟券を買えば良い。
1が飛んで、オッズもそこそこ高い舟券が必ず的中する。
1号艇が2着、または3着に入ることが分かっていれば、購入する舟券は20通りで済む。

舟券を買う側の注意点は、オッズを不自然に動かさないこと。
八百長行為を行う場合は、比較的多くの金額が賭けられることが多い。
多くの金額を儲けないと、八百長の旨みが何もないからだ。
しかし、現代の競艇は本場以外にも場外やインターネットでも舟券を購入することが可能である。従って、当然オッズも全国で同時に見られている。
オッズか少しでも不自然な動きをすれば、即座にSNSなどに書き込まれるだろう。

ではどうすればいいのか。

締切直前に舟券を購入すれば良い。
漏れなく購入するために、テレボートで購入するのがベストであろう。

しかし前述の通り、テレボートは購入履歴が残ってしまう。
八百長行為を行うには適していないのではなかろうか。

以上のようなことを考えると、競艇で八百長行為を実行することはともかく、それを“隠し通す”ことはやはり困難ではないかと考える。

競艇で八百長が実行されたその他のケースは?

この西川昌希元選手のケース以外に、競艇で八百長行為が行われたことはないとされている。
前述の通り、自分が「負ける」八百長のみしか実行できず、また、禁止されている通信機器の持ち込みを行わなければならない。
通信機器の持ち込みが発覚した場合に厳罰を受け、その間の収入が途絶えてしまうことを考えると、八百長を働こうとする選手はまず出てこないであろう。
成績さえ残していれば定年のない「競艇選手」という仕事を、わざわざ手放すような行為をするだろうか。

余談になるが、ボートレース場で「八百長だ!」と叫んでいる人を見かけることある。
あれは自分が買った舟券が当たらなかっただけのことである。実際に八百長が行われているわけではない。

競艇に「人情相撲」のようなものはある?

相撲に「人情相撲」という言葉がある。
辞書には「対戦相手の苦しい事情を推察して、わざと負けてやること」と書かれている。
これを八百長と呼ぶかは置いておいて、この「人情相撲」のようなものが競艇にも存在するのか、ということについて、実例を交えて考えてみたい。

日本モーターボート選手会では「競走の公正確保及び競技水準の向上化に関する規程」という規程が定められており、4期(2年間)の通算勝率が3.80未満の選手には選手会から退会勧告が出されることになっている。(例外あり)

先日、4期の通算勝率が3.80を若干下回っているため引退の危機に立たされていた選手が出場しているレースがあった。
この選手は初日のレースで1枠に。
このレースを勝つと、4期の通算勝率が3.80を超える。

結果は、難なく逃げ切って1着。この時点で4期の通算勝率が3.80を超えた。
しかし、翌日以降もレースは続けられる。この選手が通算勝率3.80をキープするためにはそれなりの成績を残さなければならない。
私はこの選手が取った行動に驚かされた。

なんと、この選手は初日のレースのみを走って途中帰郷したのである。
期末ということで、この時点で勝率3.80以上が確定。引退を回避することができた。

この選手が走った初日のレースは「“勝てば引退回避”の選手が、“競艇で最も有利な1号艇に入った”レース」であった。
結果の想像が難しくないと思うのは私だけだろうか。

競馬、競輪、オートレースでの過去の八百長は?

競馬、競輪、オートレースといった他の公営ギャンブルにも八百長はあるのだろうか。

競馬では、1965年に「山岡事件」、1985年に「新潟事件」があったとされている。
オートレースにおいても、1970年に現役選手19名が逮捕されるという事件があった。
競輪はこれまでに八百長行為が認定されたというケースは存在しない。

八百長行為ではないが公営ギャンブルでよくみられるもの

少し話がそれるが、競馬において騎手が引退当日に勝利を挙げるというケースがある。
引退の花道を飾らせるため、調教師がその騎手に勝てそうな馬の騎乗を依頼するケースもあるとか。
騎手の場合、実力の低下や体力の衰えが必ずしも引退の理由にならないため、騎乗最終日で勝利するこは決して不自然なことではない。
2020年2月に引退した四位洋文・元騎手は、引退当日の2月29日のレースで1勝を挙げているし、他にも同様の事例がある。

また、競馬には「ヤリ」「ヤラズ」という言葉がある。
「ヤリ」とは厩舎や馬主、騎手がその馬を勝たせようと本気の仕上げ、騎乗をすること、「ヤラズ」は厩舎が本気の仕上げをしていない、あるいは騎手が全力で追わずに、勝たせる為の騎乗をしないことである。
サラブレッドは生きものであるから、毎レース絶好調の状態で出走することは難しいだろう。ときには体調に不安があり、全力で追えないこともあるかもしれない。

競輪においては、若手先行選手が番手の先輩選手をメイチで引っ張るというケースが少なくない。
若手先行選手が売り出し中の場合、とても勝利を目指しているとは思えないような先行を見せることがある。
こういうレースはお客もよくわかっているもので、番手の選手からの車券が圧倒的に売れる。
非常に予想をしやすいレースだといえるだろう。
また、競輪では競走得点が少なく、引退の危機にある地元の先輩選手をあえて抜かない、というケースも考えられる。

しかし、これらを「八百長」とは呼ばない。

公営ギャンブルにはこのような要素もあるということを覚えておきたいものである。

まとめ

西川昌希元選手の事件はあったにせよ、基本的に競艇での八百長行為は難しいのではないだろうか。
少なくとも、今後数年は起こらないであろう。
何より発覚したときのリスクが高すぎる。

我々舟券を買う側は、八百長云々などといって難しく考えることなく、競艇を楽しみたいものである。

競艇の楽しさは、やはり「的中させること」、そして「儲けること」。

よく、自分の立てた予想で的中させたい、などと言っている人を見かけるが、自分で立てた予想だからといって、払戻金が高くなるわけではない。

信頼できる競艇予想サイトを利用すれば的中に近づき、競艇が楽しくなるのではないだろうか。

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